ベートーヴェン●弦楽四重奏曲第7番へ長調作品59ー1「ラズモフスキー第1番」
 
ベートーヴェンは、16曲の弦楽四重奏曲を残しており、第1番から第6番までが初期、第7番から第11番まで

が中期、第12番から第16番までが後期に分けられる。私が、主に聴くのは、中期弦楽四重奏曲で、後期もたま

に聴く。特に、この第7番の弦楽四重奏曲は、初期のものに比較して格段の進歩が見られるだけでなく、第3楽章

の悲痛な旋律から終楽章の明るい旋律へと導いていくあたりは、苦悩を突き抜けて歓喜に至る、ベートーヴェンの

生き方を実感させてくれる、すぐれた作品である。人生いつも明るい道を、大手を振って歩いて行けたら、楽なも

のである。時には、不慣れな暗い道を、腹をすかして歩かなければならない時もある。そんな時に、一緒に歩いて

くれる人が出現したり、自分を励ましてくれる歌を歌いながら歩いて行けたら、道のりも楽しくなるだろう。日々

の勤勉に、良き伴侶と芸術があれば、人生はすばらしいものになると言いたいのである。愛聴盤は、ブタペスト四

重奏団とバリリ四重奏団。前者は、切れ味鋭い演奏で、はつらつとしたベートーヴェンが聴ける。後者は、ゴシッ

ク様式の大きな建築物を見るような構成のしっかりした演奏である。

 

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