ブラームス●ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調作品108
デ=ヴィートという、イタリアの名ヴァイオリニストがいた。ブラームスの他、メンデルスゾーン、モーツァルト
の作品に名演を残しているが、日本盤で聴けるのは、このブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番と第3番のレ
コードくらいだろう(全集のCDは、私も持っている)。デ=ヴィートのレコード(外国盤)は、プレミアムがつ
いて、3万円は下らない。女流ヴァイオリニストで他にレコードに高額のプレミアムがつくのは、マルツィ、オー
クレール、モリーニ等のレコードである。私が持っているレコードは、マルツィは、バッハの無伴奏ヴァイオリン
・ソナタ、パルティータ各1番のレコードとモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番のレコード。オークレール
は、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。モリーニは、ブラームスのヴァイオリン協奏曲。デ=ヴィート盤の
み日本盤であるが、どのレコードも女性らしい魅力にあふれた演奏である。男性ヴァイオリニストの持つ力強さ、
豪快さを女性ヴァイオリニストの特長とすることは難しい。その代わり、繊細さ、正確さ、優しさは得意とすると
ころであり、男性をはるかにしのいでいることが多い。そんな魅力一杯の女性ヴァイオリニストを、これからも捜
してゆきたい。