ブラームス●クラリネット・ソナタ第1番へ短調 同第2番変ホ長調 作品120
クラリネットの音色が好きである。日溜りに腰を下ろして、何も考えないで無為に過ごす。そんな時にうしろで流
れているのは、クラリネットが主役のゆったりした曲、ちょうどブラームスのクラリネット・ソナタ第1番の第2
楽章、第2番の第1楽章が流れていたらすてきだなと思う。クラリネットはリード楽器特有の吹き方によつて表情
を豊かにできることと、共鳴部が木製であることから来る音の柔らかさが魅力である。特に、高い音を長く鳴らす
時や小刻みに低音から高音へと連続して音を徐々に大きくする時は本当に美しい音を出す。このクラリネット・ソ
ナタは、ピアノのきらきらした音に、クラリネットの変化に富んだ音がからんで、絶妙な音の贈り物をしてくれる。
最初は、ライスターのCDを聴いていたが、やはりアナログで聴きたいと思い、ド=ペイエのレコードを購入し、
よく聴いていた。ド=ペイエの繊細で優美な音はすばらしいが、日本盤のため、音質が少し不満だった。現在は、
ケルとローゼンが共演したレコードを聴いている。オリジナル盤に近いものなので、音質が良く、クラリネット
の魅力をたんのうさせてくれる。それでも、ド=ペイエやウラッハの外国盤はいつか入手したいと思っている。