ショパン●チェロ・ソナタト短調作品65
10年程前までは、ショパンはピアノ音楽の作曲家で少し歌曲を残しているという認識だったが、この曲と序奏と
華麗なポロネーズという曲を知り、チェロの曲にも名曲を残していることがわかった。愛聴盤は、共にフルニエの
チェロで、チェロ・ソナタの方の伴奏はフォンダ、序奏と華麗なポロネーズ(チェリスト・アワーというアルバム
の中の1曲)の伴奏はムーアである。その後、トルトゥリエ盤でチェロ・ソナタを聴いたが、やはり、フルニエの
方が断然良い。フルニエの端正な演奏は、感情が高ぶってしまう傾向のあるこの曲をうまく抑制し、それが程よい
緊張感を作り出している。第3楽章は、特に、穏やかで美しく、いつも手を止めて聞きほれてしまう。終楽章の2
本のチェロで演奏しているように聞えるところから後はフルニエにしては珍しく感情の高まりを見せるが、節度の
あるものである。このレコードは、たまたま名古屋の中古レコード店で外国盤を購入したが、その後、中古レコー
ド店で見たこともないし、日本盤のカタログでも見たことがない。一緒に入っている、フランクのチェロ・ソナタ
(ヴァイオリン・ソナタをチェロ用に編曲したもの)もすばらしいので、私の宝物である。