グリーグ●ヴァイオリン・ソナタ第1番へ長調作品8
 
グリーグは3曲のヴァイオリン・ソナタを残しており、その3曲とも北欧の香り豊かな、心にじんわりと染みて来

るすばらしい曲である。私は、最初、シトコヴェツキーとダヴィドヴィチ母子のCDを購入し、後にレコードも入

手し聴いていた。このレコードでは断然第2番がすぐれているが、曲としては第1番が好きである。特に第2楽章

は非常に美しい。ベートーヴェン、ブラームス、バッハのように、なぜこの美しいヴァイオリン・ソナタが演奏会

や録音で取り上げられないのか、不思議でならない。愛聴盤は、エルマンとセイガーが共演したデッカ盤(オレン

ジ色のラベルに金文字だからオリジナル盤だと思う)。私の持っているレコードは、少し盤質が悪いが許容範囲内

である。それよりも、第2番が聴けない(第1番、第3番のみ収録)のが残念だ。エルマンはエルマン・トーンと

いう独特の音色を出すと言われるが、私の持つ装置でどれほどその音色が引き出せているか疑問である。ただ、ヴ

ァンガードから出ている、タイスの瞑想曲を含む小品集を聴くと、その柔らかく包み込むような繊細な音は誰にも

まねのできないものだと思う。他にメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲も持っているが、こちらは繊細な音色

が充分聴けず、不満である。

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