ハイドン●弦楽四重奏曲第77番「皇帝」 同第78番「日の出」
ハイドンは、1799年に作品76の弦楽四重奏曲を6曲出版した。その中に、「皇帝」と「日の出」は含まれて
いる。「皇帝」は第2楽章に、美しいよく知られた旋律を持つよくまとまった作品であるが、最近は「日の出」を
聴くことが多い。大きな障害にぶつかったり、胸を焦がす恋をあきらめざるをえなくなった時、第1楽章冒頭の日
の出を想起させる旋律は、暗く沈んだ気持ちを吹き飛ばしてくれる。また、気が滅入った時の特効薬としても愛用
させてもらっている。「皇帝」と「日の出」は一緒に入っていることが多く、愛聴盤である、イタリア四重奏団、
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団も共に1枚になっている。前者は、クラシック音楽を聴き始めた頃、FM
放送で放送されたものをエア・チェックし、何度もテープを聴いた。今は日本盤を聴いているが、是非とも、オリ
ジナル盤を入手したい。一方、後者は、オリジナルに近いものを持っている。演奏は、ウィーン情緒豊かで、ハイ
ドンの音楽にある素朴な面もあわせ持つ名演。仕事が思うように行かなかったり、失恋で大きな心の痛手を受けた
時、「日の出」を聴くと、ハイドンがあの優しい顔で、気にするなよ、と言ってくれているようで、心が落ち着く。