メンデルスゾーン●八重奏曲変ホ長調作品20
この曲は、ヴァイオリン4、ヴィオラ2、チェロ2の楽器編成のため、弦楽四重奏団(以下、SQと略す)2組に
よる演奏となることが多い。最初に聴いた演奏は、クリーブランドSQとメリオラSQのCD。第1楽章の心のこ
もった、温かい演奏に引かれた。次に、聴いたのが、ゲバントハウスSQとベルリンSQのCD。第1楽章が余り
に美しいため、他楽章がかすみがちなこの曲を、引き締まった緊迫感のある演奏で最後まで聴かせてくれる。アナ
ログでは、最初、ボスコフスキー他による演奏を聴いていたが、テンポが非常に速くあっけなく終わるので、聴か
なくなった。スメタナSQとヤナーチェクSQの旧盤を持っているが、平凡な演奏だと思う。イ・ムジチ盤は、別
の曲を聴いているようだ。メンデルスゾーンの音楽にある陰影が欠落しているのである。最近になって、スメタナ
SQとヤナーチェクSQの新盤を入手したが、第1楽章が充実した演奏で、全体的にアンサンブルがすばらしい。
現在の愛聴盤であるが、もっとロマンに満ちた、心を揺さぶるような演奏がないものかと思っている。