モーツァルト●クラリネット五重奏曲イ長調K581
 
天国的な調べという言葉があるが、私はこの曲の第2楽章をウラッハとウィーン・コンツェルトハウス四重奏団の

レコードを聴いた時に、まさしくこれのことだと思った。曲全体のテンポは、ほかの演奏と比べ、ゆっくりしてお

り、特に第2楽章はさらにじっくりと聴かせてくれる。また、ウラッハの浮世離れしたクラリネットの音色は優し

く甘美で、心を魅了する。ウラッハのこの演奏をずっと日本盤で聴いていたが、最近になって外国盤が入手できた。

私は、長らく探していたこのレコードが入手できた記念に、阿佐ヶ谷の名曲喫茶ヴィオロンに行き、店主にお願い

してかけていただいた。スピーカーの前の席に座り、対峙して、腕を組み目を瞑り、じっと耳を傾けた。天上の

調べを聴きながら、クラシック音楽を聴いてきたことで、今まで色んな出会いがあり、心が豊かになったので、今

後も、同様にクラシック音楽を聴いてゆこうと思った。ただ、今まで、一番欲しかったレコードが手に入ったので、

今後は何を求めていけばいいのか迷っている。今までのことを整理するために、この小文を書いているとも言える。

 

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