モーツァルト●弦楽四重奏曲第21番ニ長調k575「プロシア王第1番」
ウィーン・アルバン・ベルク四重奏団の「プロシア王第1番」「同第2番」「同第3番」の全てが入ったCDを長
らく聴いていたが、レコードを神戸の中古レコード店らるごで入手し、今は、専らレコードを聴いている。しかし、
CDも、一度再生の釦を押すだけで、美しく輝く、洗練されたモーツァルトの音楽がたんのうできるのはありが
たい。何人かの人が、このCDを聴いたが、すばらしいという返事が返ってくる。経済的困窮に喘いでいた晩年の
モーツァルトが、新しい後援者となってもらえるように、プロシア王フリードリッヒ・ウィルヘルム二世に3曲の
弦楽四重奏曲を献呈しようとしたが、果せず、献呈の言葉を残して、売却してしまった。チェロのパートが充実し
ており、3曲とも個性があり、流麗である。晩年のモーツァルトが、人生の光と影を知り尽くし、到達した境地が
晩年の作品に反映されており、この作品もそんな深みがある。全曲を聴くのなら、ウィーン・アルバン・ベルク四
重奏団を推薦するが、第1番だけなら、ウェラー弦楽四重奏団を推薦する。第1ヴァイオリンの音色がとても美し
く、絶妙のアンサンブルと相俟って、モーツァルトの晩年の境地を再現している。