モーツァルト●フルート四重奏曲第1番〜第4番
フルートの名曲と言えば、私の場合、まず思い浮かぶのは、ドップラーの「ハンガリー田園狂詩曲」であり、フル
ートの曲で最も好きな曲である。ビゼーの「アルルの女」組曲第2番のメヌエット、グルックの「精霊の踊り」、フ
ォーレの「ペレアスとメリザンド」組曲のシシリエンヌ等、どの曲も思わず口ずさみたくなる愛らしい曲ばかりで
ある。フルートの音色は澄んでいて、優しい。しかし、モーツァルトの活躍していた当時は、木製で、音程も不安
定なものであったらしい。モーツァルトは、管楽器のために多くの作品を残しているが、フルートと他の管楽器と
の組合せが余りないのは、音程が安定しないからだろうか。例えば、小編成のディヴェルティメントやピアノと管
楽器のための五重奏曲には、フルートの姿は見られない。あるいは、フルートの素直な音が、表情豊かなリード楽
器や素朴なホルンと協調しにくいと考えたからかもしれない。モーツアルトは、4曲のフルート四重奏曲を残して
おり、第1番がよく知られているが、どの曲も美しい旋律にあふれ、よくまとまっている。愛聴盤は、ドレスデン・
カンマーゾリスデンの名盤。