楽しかった八ヶ岳登山


                  

私ことふくいえむは、前の週に白山に行きましたが、天候不良で山頂まで行かずに引き返しました。今度こそはと、八ヶ岳に行くことにしたのですが...。

今年はとにかく梅雨明けが遅かった。それに大きな台風も2週連続で日本に接近(通過)しました。台風5号は九州の西側を通り過ぎ、勢力が弱まってから、日本海を東に進みましたが、八ヶ岳に出発する前日(8月2日)の天気予報では、台風の影響があるのか曇り時々雨の日が続くというような予報でした。

3日午前5時少し前に家を出発し、朝一番の新幹線で京都から名古屋に向かいました。名古屋からは、しなの1号に乗り、塩尻で乗り換えましたが、電車が遅れているので、乗換えはお急ぎ下さいとのアナウンスにおしりを打たれるようなかたちになった私は、信じられない早さで5番ホームへと向かい、乗車予定の特急あずさより一本早い特急あずさに乗ることができました。そのため、午前9時34分にJR茅野駅前発美濃戸口行きのバスに乗ることができ、予定より1時間以上早く、美濃戸口に着くことができました。

美濃戸にある赤岳山荘で一服しただけでそれ以外は休まずに歩いたので、美濃戸口から約2時間30分(午後0時40分)で赤岳鉱泉に着きました。管理人の方が、午後6時までに帰ってくれば良いと言われたので、荷物を部屋に置き、財布とカメラを入れた小さなショルダーバッグを肩に掛け、赤岳山頂を目指しました。赤岳山頂には3年前に行ったことがあり、雨も少し降っただけだったので、あまりしんどい思いをせずに、行者小屋、地蔵尾根を経由して赤岳山頂に行き、同じ道を帰って来ました。帰りに、行者小屋から赤岳がよく見えたので、写真を撮りました。赤岳鉱泉に戻り時計を見ると、午後5時を少し回っていました。

今回赤岳鉱泉に宿泊することを決めたのは、登山に便利なのが一番の理由ですが、食事がおいしいのが2番目の理由でした。前回の宿泊の際にも、夕食にビーフシチューとソーセージ入りのコンソメスープが出ていずれも美味しかったのですが、今回(連泊しました)は1日目がポテトグラタンと豚汁、2日目が陶板焼きの焼肉とソーセージ入りコンソメスープでした。1日目の夕食の時に隣の席に座られた、宇都宮から来られた大野夫妻と音楽や登山の楽しいお話をすることができました。

翌朝、天候が優れず、天候の回復を期待して午前7時まで出発を延期しましたが、ガスは晴れることなく視界は50メートルもありませんでした。とにかく硫黄岳近くまで行ってみようと出発し、午前9時前に赤岩の頭に着いたのですが、遮るものがなくなると強風がまともに吹き付けるようになりました。私は、硫黄岳山頂を通り過ぎ、3つ目のケルンに辿り着くまでの間に、猛烈な強風のために3度引き返す決心をしましたが、諦め切れずに前へ前へと進んで行きました。3つ目のケルンを通り過ぎ4つ目のケルンに着く前に、戻って来られた50代位のご夫婦が、風が異常な吹き方をしているので、ここから先は行かない方がよいと言われました。

私は4度目の戻る決心をし、来た道を帰りかけると、昨晩夕食で同席し、40分前にお先に失礼させていただいた大野夫妻が来られました。大野夫妻は、「ツアー(総勢13名、それに私たち5名が加わる)の引率の方が、これくらいの風なら大丈夫と言われているので、一緒に行きましょう」と言われました。50代位の夫婦と私が逡巡していると、その引率の方は、「大丈夫です。ここではこれくらいの風はよく吹きますが、これくらいの風なら進めます。一緒に来てもらってもよいですよ」と言われました。50代位の夫婦と私もツアーに同行させてもらうことにしました。

4つ目のケルンを通り過ぎると、今まで以上の強風が吹き、立って歩き続けることができずにしゃがみ込んでしまう人が出て来ました。私は殿(しんがり)近くにいたので、進むことのできない人を息もほとんどできないような状態で見ていました。しばらくして引率の方が戻って来られ、しゃがみ込んでいる人を助け起こして先へと導いて行かれました。私は最後の集団と一緒に先に進みました。そこから30分程で硫黄岳小屋に着きましたが、そこに着くまでにも何度か強風が吹くところがありました。3名の方が手を繋いで吹き飛ばされそうになりながら(何度も押し戻されて)進んで行くのを見て私は思わず、すごい、映画みたいだと叫んでいました。

引率の方が十分な休憩が必要と考えられたからだと思いますが、硫黄岳小屋には1時間以上いました。小屋を出たのは、午前11時を過ぎていました。晴れていれば、視界がきき、恐怖感がもっとあったと思われますが、とにかく濃いガスの中をひたすら進んだので、切り立った岩のクサリ場を通過する時も高度に対する恐怖感はほとんどありませんでした。脇が砂地のところでは、コマクサが満開に咲いていました。強風の中、険しい岩場の多い道を1時間余り行くと、横岳山頂に到着しました。横岳山頂では、記念写真を撮り合ったりして和やかな雰囲気になりました。

その後午後2時前に地蔵尾根への分岐点に着くまでは、岩場クサリ場が多く、天候が良ければスリル満点だったと思いますが、見通しが悪く少し残念でした。一度道に迷いかけましたが、引率の方がすばやく来た道を引き返し、正規の登山道へと導いて下さいました。引率の方は、高山植物に詳しく、特に花びらが白い1センチもない位の、私には見分けがつかないような花もひとつひとつ名前を教えて下さいました。暗い空を見上げて、憂鬱な表情をしている人に引率の方は、景色は余り見えなくても、近くを見ればこんな可憐な花がたくさん見られるじゃないかと言われているように思われました。

私以外の方々はその晩は赤岳展望荘で宿泊されるため、赤岳鉱泉でもう一泊する私は地蔵尾根への分岐点で大野夫妻引率の方と別れを告げました。地蔵尾根をしばらく行くと正規ルートを少し離れて行っておられる男女がおられたので、私は声を掛けました。前日同じ道を通っていたので正規ルートから外れておられるのがわかりました。私が正規ルートに導くと、感謝しておられました。地蔵尾根を通り過ぎた私は午後2時30分頃に少し遅い昼食を取りました。行者小屋を経由して赤岳鉱泉に着いたのは午後4時頃でした。その日はゆっくり休み、お風呂にもつかりました。

翌朝は午前7時30分に山小屋を出ました。まず行者小屋を目指し、その後南沢を下って、美濃戸に出ました。来た道でも立ち寄った赤岳山荘で休憩を取りましたが、店内に飾られた冬山の写真が目に着きました。管理人のおばさんに尋ねると、赤岳鉱泉から見た大同心と小同心とのこと。おばさんはいい写真が撮れたかと私にきかれたので、私は、天候が悪く、いい写真が撮れませんでした。でも行きたいところには行けたし、いままでとは少し違った楽しい登山でしたと答えました。おばさんは、八ヶ岳はいいところだからまた来るといいよと言われたので、私は、ええ是非と答え、赤岳山荘を後にしました。

今回の登山では、大野夫妻をはじめ、引率されたツアーのリーダー、地蔵尾根近くで迷われていた前田夫妻(前田夫妻とは翌朝の食事で偶然同席し、楽しい話をしました)、南沢で声をお掛けして少し話をしただけなのに美濃戸口まで車に乗せて下さった、松田さんと高木さんと、人と話す機会が多く、楽しい有意義な話がたくさん聞けました。今よく考えてみると、前日の夕食で大野夫妻とご一緒しなければ、ツアーの方たちと一緒に行けたかどうかと思います。今回、山の写真は余り撮れませんでしたが、意義のある登山であったと思います。

 

                  戻 る