ブラームス●ドイツ・レクイエム作品45
ブラームス、33才の時に作曲されたもので、彼の出世作となった作品である。モーツァルトやヴェルディのレク
イエムはラテン語テキストに作曲されたものであるが、このレクイエムはドイツ語の歌詞である。またこの曲は、
死者を慰めるためのミサ曲にとどまらず、残された遺族のための励ましや慰めの曲となっている。「悲しんでいる
人は幸せである。その人は慰められるから」等の歌詞は普通生活している人にとっても、温かい励ましとなるにち
がいない。重厚な管弦楽演奏を伴奏にして美しいコーラスが展開され、その中でソプラノ、バリトンの独唱者の歌
が浮かび上がってくる。それを聴くと、多くの人の傷んだ心は癒されるのではないだろうか。愛聴盤はやはり、シ
ュワルツコップ、フィッシャー=ディースカウが独唱し、クレンペラーがフィルハーモニア管弦楽団及び合唱団を
指揮したもの。重厚な弦楽合奏や独唱者の深い悲しみをにじませながらも希望を持たせる歌唱やすぐれた合唱を見
事に統括しまとめ上げる、クレンペラーの手腕はさすがだと思う。