マーラー●さすらう若人の歌
FM放送や評論で多くの知識を得たので、評論家の方々には感謝している。吉田秀和、柴田南雄、藁科雅美、皆川
達夫、丹羽正明、出谷啓、三浦淳史、黒田恭一の各氏の他、大勢の評論家の方々には本当にお世話になったが、今
はその評論に接する機会が少なくなり残念に思う。以前は、クラシック音楽を紹介する音楽番組は大抵、評論家の
方の曲についての懇切丁寧な説明があったし、クラシック音楽を紹介する雑誌も今よりはるかにたくさんあった。
FM東京(大阪ではFM大阪)の番組で「音楽の森」という番組も当時楽しみにしていた。評論家ではないが、立
川澄人氏と國弘洋子さんの息の合った司会とゲストの方のクラシック音楽に関する興味深い話しは楽しくてために
なるものであった。今でも覚えているのが、落語家の柳家小三治さんが出演された時のことである。小三治さんは
確か、ミュンシュ指揮ボストン交響楽団の第九とフルトヴェングラー指揮ウィーン・フィルのさすらう若人の歌を
激賞されていたと記憶している。このようにクラシック音楽愛好家のクラシック音楽に関する興味深い話しを聴け
る番組が、なくなってしまったことも残念である。