R・シュトラウス●4つの最後の歌
この曲も私がクラシック音楽を聴き始めた頃に、FM放送でよく流れていた曲である。演奏は、シュワルツコップ
がセル指揮ベルリン放送交響楽団と共演したものである。ただ、その当時はヘッセの詩にR・シュトラウスが曲を
つけたものということしかわからなかった。また、「春」、「九月」、「眠りにつくとき」、「夕映えに」という
4つの詩の相互関係がわかりにくく、なぜ最後の歌であるのかわからず、釈然としないままレコードを購入しない
でいた。しかし、5年ほど前に、オリジナルに近いこのレコードを入手して聴いてみると、シュワルツコップの歌
唱とセルの指揮するベルリン放送交響楽団の演奏のすばらしさに魅せられてしまった。よく、外国語の曲を聴く時
に言葉が理解できないことが障害となるが、旋律が美しく歌い手をはじめ演奏者が心を込めて演奏していれば、言
葉を超えた何かが伝わるものである。それはある時は単なる美しい旋律だけに終わるかもしれないが、大抵はタイ
トルによって想像力を働かせ、うまくするとその詩の内容を大雑把に把握することができることもある。何より、
作曲家は詩に触発され、曲を書いたのだから。そんなことを強く感じさせるのがこの演奏であり、外国盤しかない
私はまだこの詩の内容を知らない。