シューベルト●歌曲集「美しき水車小屋の娘」D795
シューベルトは生涯に600余りの歌曲を残したとされる。「美しき水車小屋の娘」、「冬の旅」、「白鳥の歌」
の三大歌曲集が有名だが、他に「アヴェ・マリア」、「ます」、「楽に寄す」、「春の想い」、「子守唄」、「魔
王」、「シルヴィアに」等、有名な歌曲がたくさんある。「美しき水車小屋の娘」は、若者が水車小屋の娘(水車
小屋で粉をひく仕事をしている人の娘のことか)と知り合い、恋をするが果せず、失恋する歌である。第9曲目の
「水車職人の花」は特によく知られており、若い娘と出会い恋愛感情を抱くが、うまく切り出せない若者の切ない
気持ちを歌っている。また、フルートとピアノによる変奏曲で知られている、第18曲の「しぼめる花」も心にし
みる歌詞と旋律である。フィッシャー=ディースカウ盤(グラモフォン)とスゼー盤を持っているが、スゼー盤の
方が好きだ。前者はドイツ人が歌うドイツ語でその点違和感がないが、みずみずしさやはかなさに欠けているよう
な気がする。後者はフランス人であるので発音に少し違和感があるが、シューベルトらしさが出ていてその点は好
感が持てる。この曲は失恋の歌であるので、特に後半は静かに語りかけるような歌唱をする、スゼーのほうが好ま
しい。