ディケンズの長編小説の登場人物紹介    悪役編   


ここで言う悪役というのは、平気で殺人を犯したり、お金のためなら手段を選ばない、ジョーナス・チャズルウィット、ドルジ・オーリック、モンクス、ラルフ・ニクルビー、トム・グラッドグラインドなどのように極悪非道の輩だけでなく、主人公を困らせたり当惑させたりするだけの、バーデル夫人も含まれています。

マーサ・バーデル夫人  『ピクウィック・クラブ

ピクウィックの下宿の家主で未亡人。悪徳弁護士ドッドソンとフォグに焚きつけられて、ピクウィック氏を婚約不履行のかどで訴える。ピクウィック氏はサム・ウェラーを雇うにあたって夫人に相談しただけであったが、求婚されたと誤解したのだった。ピクウィック氏は1,500ポンドの賠償金の支払いを拒否したため、フリート債務者監獄に投獄されることになる。

エドワード・リーフォード(モンクス 『オリヴァー・トゥイスト』

エドウィン・リーフォードがやむを得ず結婚した正妻との間に出来た息子。モンクスを名乗る。オリヴァーの腹違いの兄にあたる。不品行がなければ遺産を相続することになっていたが、18才の頃に犯罪に手を染める。オリヴァーに渡るべき分の遺産を自分のものにするため、奸計を画策する。

ラルフ・ニクルビー 『ニコラス・ニクルビー』

ニコラスの叔父。目的のためには手段を選ばない冷酷な男。守銭奴の高利貸しで、ニコラスに嫌悪感を持っている。ニコラスが生意気な若造と思ったラルフは、ニコラスを友人のスクィアズが経営するヨークシャーの寄宿学校へ助教師として働きにやらせる。

ダニエル・クウィルプ 『骨董屋』

残忍で狡智に長けた、醜い男。家賃集め、船員への金の前貸しなどをテムズ川南岸にかまえた会計事務所で行っている。女主人公ネルとその祖父を迫害する悪人であるが、利益のためだけではなく、悪そのものを楽しんでいるように見える。身の毛のよだつニヤリとした笑いは、グロテスクそのもの。

ジョン・チェスター 『バーナビー・ラッジ』

エレガントで礼儀正しいが、無慈悲で無節操な紳士。息子エドワードがエマ・ヘアデイル(22年前に殺害されたルーベン・ヘアデイルの娘)とつき合うことに反対し、敵対してきた仲のジェフリー・ヘアデイル(エマの叔父)に縁組みに反対するよう約束させる。

ジョーナス・チャズルウィット 『マーティン・チャズルウィット』

マーティン老人の弟、アンソニーの一人息子。父親の教育の賜物で、金のためなら父親でも殺そうとする利己的な卑劣感。持参金が欲しくて、マーシー・ペックスニフと結婚するが、結婚後は程なく虐待するようになる。

ジェイムズ・カーカー 『ドンビー父子』

ドンビー父子商会の支配人で、ドンビーが最も信頼を寄せる人物。フローレンスとウォルターに対するドンビーの不快な気持を煽り立てるなど、密かに卑劣な行為を行う。しかしついには、ドンビーの再婚相手イーディスと駆け落ちを決行し、ドンビーの信頼を裏切る。そして逃亡の果てに...。

ユライア・ヒープ 『デイヴィッド・コパフィールド』

主人公が働くウィックフィールド弁護士事務所の書記。謙譲を装うが、実は弁護士に妬みを持っていて、その復讐を果たすために愛想のよい態度を取っていたのだった。当初からヒープの言動を怪しんだ主人公は、トラドルズ、ミコーバとともに彼の悪事を暴いていく。

タルキングホーン 『荒涼館』

サー・レスター・デッドロックの顧問弁護士。デッドロック夫人の過去の秘密を探ることに全力を挙げる。夫人の結婚前の秘密を知り彼女に面会するが、その直後に殺される。

トム・グラッドグラインド 『ハード・タイムズ』

トマス・グラッドグラインドの息子。父親による教育の犠牲で、利己的で卑劣な若者となる。浪費しては姉から金をせびり、さらに姉の夫バウンダビーの銀行の金を盗み、他人に嫌疑をなすりつける。

マードル 『リトル・ドリット』

金融業者、銀行家。放漫な経営により破産し自殺する。アーサー・クレナムやドリット一家は、マードルに投資して財産を失う。

テレーズ・ドファルジュ 『二都物語』

サン=テヴレモンド侯爵兄弟によって死に追いやられた若い娘の妹。サン=テヴレモンド一族への復讐のために無慈悲に画策する。チャールズ・ダーネイもその一族の出であるため、その奸計によってパリへと誘き出されて、死刑判決を受ける。

ドルジ・オーリック 『大いなる遺産』

ジョーが鍛冶屋で雇っている粗暴な男。悪人で、ピップを目の仇にする。コンペイソンに頼まれて、殺人の目的で人気のいないところにピップを呼び出す。

ブラッドリー・ヘッドストーン 『我らが共通の友』

チャーリー・ヘクサムが学ぶ師範学校の教師。チャーリーの姉リジーに激しい恋心を抱き、嫉妬心からリジーと交際しているユージン・レイバーンを殺そうとする。