プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 71」
福居は毎年5月に開催される小澤一雄氏の個展を楽しみにしている。福居は浪人時代からのクラシック音楽ファンで、20年程前にたまたまディスクユニオンで小澤氏が制作されたクラシック音楽の作曲家のピンバッジを購入してファンになった。小澤氏は新聞や雑誌にも多数のイラストを描かれていて、そのユーモラスなイラストは見ると心が安らぐので今まで10点ほどイラスト画を購入して自宅の部屋に貼ってある。今年も5月23日から28日まで東急武蔵小山駅から歩いて10分程のスクエア荏原4階ギャラリーで開催されるということで午前8時6分京都発の新幹線で行くことにした。福居の隣の席に座ったアメリカ人の若い方が翻訳機を使って、渋谷の美味しいレストランはないかと訊いて来たので、名曲喫茶ライオンに行くと楽しいですよと伝えた。その後自分のホームページを見せて、6月1日に開催するLPレコードコンサートの宣伝をしたり、40代後半に何度か行った槍ヶ岳・穂高の写真を見せたり、ライカで撮影した花火、夜景(神戸掬星台、長崎稲佐山)、観光地(京都、奈良、串本、郡上八幡など)見せたりした。その方が、あなたはいろいろ素晴らしい体験をされたと言われたので、品川駅で2度握手をして「サンキュー」と言って別れた。その方が同行されていた奥さんと娘さんに声掛けすることなく静岡を過ぎたあたりからずっと自分と話していたので、そんなことをして良かったんだろうかと福居は思った。架線の事故で山手線が始発から動いていないと聞いていたが、午後10時を過ぎていたので内回り外回りとも復旧していた。遅れが出ていて後部(前部?)は込むので前部に行くようアナウンスが流れていた。満員に近かったが、支障なく目黒に着くことができた。福居がJRの改札を出て、東急電鉄の券売機で武蔵小山行きの切符を購入しているとM29800星雲からやって来た宇宙人が福居に声を掛けた。
「アンタイマカラコテンニイクンヤロ。ワシモイッテエエカ」
「もちろん、一人でも多くの方が来られると主催する側はうれしいものですよ」
「アンタガ6ガツ1ニチニカイサイスルLPレコードコンサートモソウヤロ」
「そうですね。でも客席は24だと思うので、20名以上だとしんどいですね。4人掛けに知り合いでない人が向かい合って肩を寄せ合って掛けるのは気の毒な気がします。私の席も使いたくないので、17席位が限界でしょうか。でも個展の場合は入場者が30分ほどで入れ替わりますからその心配はありません。クラシック音楽ファンで興味がある方は是非見に行っていただきたいと思います」
「トコロデアンタノホームページハドコガオモロインカナ」
「谷さんが尋ねてくださったので、少し丁寧に私のホームページを紹介させていただきます。私のホームページの始まりは出版社に持ち込んだボツ原稿です。まだ20代と思われる編集者の方からホームページで掲載したらとのアイデアをいただき2002年に始めたのでした。最初はその原稿だけでしたが、LPレコードコンサートの告知、写真、読書感想文、登山の体験記、短編小説、プチ小説(A4用紙に収まるくらいの短い小説)、50才から習い始めたクラリネットのレッスンの日誌(もちろん毎日書いていませんが)、朗読用台本、自作料理などを掲載しています。特に観光地や槍・穂高のライカで写した写真はお勧めで先程話した新幹線で隣だった外人の方も楽しまれたようでした」
「デモアンタノホームページハボウダイヤカラ、ドコカラミタラエエノンカワカランワ」
「そうかもしれません。例えば写真を効率よく見たいと言われる場合は、山の写真ならトップページの登山のページから入って写真や体験記を読んでいただくのがいいと思います。ライカで撮影した写真を効率よく見られるにはライカはすばらしいから入って、サムネイルをクリックしていただいて拡大された写真を見ていただくのがいいと思います。もっと他の写真を見たい場合は、一時力を入れた京都のお寺の写真(エルマリート21の世界は別です)などはランダム写真集(写真に興味がある方にのボタンをクリックしてください)を是非ご覧ください」
「ショウセツトカカンソウブンハドウシタラミラレルン」
「私は最初短編小説を書いていたのですが、今はプチ小説ばかりを書いています。朗読用台本も10余り書きましたが今は書いていません。最近は読書感想文を書いて古典入門のページ2に掲載しています。プチ小説でまとまった量の原稿がたまったので、『こんにちは、ディケンズ先生』を出版しましたが、今でも何とかたくさんの人に読んでいただけたらと思っています。『こんにちは、ディケンズ先生』の挿絵と表紙絵は小澤氏が描かれました」
「オンガクカツドウモシトルンヤネ」
「2002年から『こんにちは、ディケンズ先生』のヒロイン小川秋子のように名曲喫茶ヴィオロンでコンサートをしています。クラリネット演奏ではなく、アナログレコードの名盤を聞いていただくコンサートです。コロナ禍で一時自粛していましたが、再開しています。クラリネット日誌には日誌の他に自分のクラリネット演奏を掲載しています。リンクをクリックすると画面のBGMで流れます」
「スクエアエバラニツイタカラ、コンドカイサイサレルLPレコードコンサートノナイヨウダケオシエテ」
「シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団の特集ですが、ミュンシュは浪人時代に入ってすぐの沈んだ私の気持ちを鼓舞してくれました。クラシック音楽が好きになったのもしんどかった浪人時代を乗り切れたのもミュンシュのお陰だと感謝しています。きっとよい音で聞いていただくとミュンシュが好きになると思うのでクラシックの名曲の名演奏をよい音で聞きたいと思われている方は是非お越しください。ただ席に限りがありますので、午後1時頃に来ていただくのが良いと思います。曲目はメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」、シューベルトの交響曲第9番「ザ・グレイト」、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」です」
「ホタラ4カイノギャラリーニイコカ」